ウサギの急性胃拡張
- 平和の森AnimalClinic
- 1月18日
- 読了時間: 2分
今回はウサギさんの急性胃拡張の症例さんのご紹介です。
6歳のウサギさんが「昨日からまったく食欲がない、元気がない」とのことでご来院されました。
触診にて、重度の胃拡張を認めたため、レントゲン検査を行いました。
レントゲン検査では重度の胃拡張と、胃内への胃液とガスの貯留が認められました。
また、心臓のサイズが小さく脱水状態であることが分かります。
また、血糖値も高く、かなりのストレス状態であることが分かりました。


急性胃拡張の原因は、胃腸運動の機能的な低下や、毛球などの消化管閉塞が原因となります。
ウサギさんの場合、どちらが原因かの診断は難しく、治療反応により考えて行きます。
胃腸運動の機能的な低下の場合は、お薬での治療になります。
消化管閉塞の場合には、お薬に合わせて、外科的な手術が必要になる場合があります。
また、急性胃拡張は状態により、とても緊急性の高い状態となります。
今回は、一晩、点滴治療にて、胃腸の動きを評価させていただきました。
しかし、一晩しても胃拡張に変化はなく、重度の機能低下もしくは消化管閉塞が疑われました。
そのため、全身麻酔下で胃液を抜去する処置を行わせて頂きました。
これにより、胃拡張によるストレスが軽減して、胃腸の動きが改善することがあります。
1.8kgのウサギさんから110mlの胃液が抜去されました。
処置後のレントゲン検査でも、胃のサイズが小さくなってくれたのが分かります。



処置後、改善がない場合には閉塞の可能性が高くなり手術による治療となります。
幸い、今回のウサギさんは処置後に胃内のガス(矢印部分)の移動が確認できたため、点滴での治療を継続していくことになりました。

翌日には、かなり胃が小さくなり、胃内のガスもなくなりました。
順調に腸が動き出し、流れているているのが分かります。

さらに5日後には、消化管の大きなガスが抜け、盲腸内にもご飯が溜まりだしています。
少しずつ食欲も改善しているため、このまま内科的な治療で経過をみていくこととなります。

ウサギさんの食欲がない時は、緊急性が高い場合が多いため、ご自宅で様子を見ずに、早めにご相談いただければと思います。