高齢猫の局所麻酔下での腫瘤切除
更新日:10月9日
◽️概要
今回は、慢性腎臓病と心臓病の既往がある16歳の猫ちゃんの局所麻酔を用いた処置の症例をご紹介します。
背中に約3×2cmの腫瘤があり、そこから繰り返し膿が出ることで、生活の質(QOL)が低下していました。全身麻酔のリスクが高く、他院では積極的な治療が難しいと判断されていましたが、今回は「完治」だけを目的とするのではなく、排膿による不快感をなくし、QOLを改善することを目的として、局所麻酔下で腫瘤の切除を行いました。
◽️ 高齢動物の治療について
高齢の動物では、慢性腎臓病や心臓病など、複数の基礎疾患を抱えていることがあります。
そのような場合、病気そのものを治療できる可能性があっても、全身麻酔や積極的な治療による負担が大きくなることがあります。
一方で、治療を行わずに経過を見ることで、腫瘤からの出血や排膿、痛み、臭いなどによって、動物の生活の質が低下してしまうこともあります。
そのため、高齢動物の治療では、「病気を完全に治すこと」だけでなく、「その子ができるだけ快適に過ごせるようにすること」も大切な治療目標の一つになります。
今回も、全身麻酔による負担を避けながら、腫瘤によるQOLの低下を改善する方法を検討しました。
◽️今回の症例
背中に約3×2cmの腫瘤があり、腫瘤から出血と膿が出る状態が続いていました。
排膿による皮膚の汚れや臭いなどもあり、猫ちゃんにとっても飼い主様にとっても負担となっていました。

今回は、腫瘤を完全に治療できるかどうかだけではなく、「この腫瘤をなくすことで、猫ちゃんとご家族の生活が少しでも楽になるか」という点を重視して、治療方針をご相談しました。
ご相談の結果、病変を完全に根治することだけを目的とするのではなく、繰り返す排膿をなくし、日常生活での不快感を軽減することを目的とした局所麻酔での切除を行うことになりました。
◽️局所麻酔下での腫瘤切除
全身麻酔による負担を避けるため、今回は局所麻酔下で腫瘤の切除を行いました。
腫瘤を周囲の組織から慎重に分離し、可能な範囲で切除しました。
局所麻酔を使用することで、全身麻酔による循環器や腎臓への負担をできるだけ抑えながら処置を行うことを目指しました。



◽️術後経過
術後は傷の状態を確認しながら経過観察を行いました。
10日後の再診では、傷はきれいに治癒しており、排膿も認められませんでした。

全身麻酔を避けながら腫瘤を切除することで、今回の目的であったQOLの改善につなげることができました。
◽️まとめ
高齢の動物では、心臓病や腎臓病などの基礎疾患によって、一般的な全身麻酔や外科手術が難しい場合があるた、その子の状態や治療の目的に合わせて、できるだけ負担の少ない方法を選択することは重要となります。
当院では、動物の年齢や基礎疾患、現在の生活の状態を考慮しながら、「何を治療するのか」「どこまで治療するのか」「その子にとって何が一番負担が少ないのか」を飼い主様と一緒に考えることが大切と考えています。
当院では、高齢動物や基礎疾患を持つ動物についても、それぞれの状態に合わせた治療方法をご相談しています。治療についてお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。



